THE COUNSELOR [感想・レビュー]
僕には何かを変える力はなかった。
僕は誰かを導いていく器ではなかった。
そもそもそんな立場ではなかったし、誰に頼まれたわけでもないんだけど。
でもできると思った。でもできなかった。
それがとても悔しかった。
そして同時にとても腹が立った。
そういう器かどうかは知らないが、少なくともそれができる立場で、それができる力を持つ者が、なぜそれをしないのか。
確かに僕は鬼になると決めた。
しかしそれを実行していく過程で、自分の立ち位置がどんどん悪くなっていく。
鬼は、つまりは悪は、敵は最終的には排除される運命にある。
なぜそんな損な役回りを、本来演じる立場にない僕が、自らの立つ瀬をなくすような真似をしてまで演じなくてはならないのだろうか。
自分の信じていた正義がただのエゴ、単なるわがままだったのではないかと疑念を持ってしまった。
思い通りにいかない現実に、ただ駄々をこねていただけに過ぎないのかもしれない。
そんな考えがよぎるようになってからは、やる気が一気に失せてしまった。
それからというもの、夜もなかなか寝付けなくなってしまった。
熱帯夜のせいかもしれないが。
そこで僕が取った行動は借りてきた映画を見ること。
それも正義は勝つ的なヒーローものや主人公側が勝利する勝負もの、ハッピーエンドものばかり。
アメイジング・スパイダーマン
アメイジング・スパイダーマン2
アイアンマン
アイアンマン2
アイアンマン3
アベンジャーズ
キャプテン・アメリカ/ザ・ファースト・アベンジャー
キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー
ワールド・ウォーZ
ゼロ・グラビティ
グランド・イリュージョン
ハンガー・ゲーム
ハンガー・ゲーム2
約2週間の現実逃避。
今ぶつかっている壁もいつかは取り払われる、乗り越えられる。
雨はいつか止むし、トンネルはいつか抜ける。
明けない夜はないし、正義は必ず勝つ。
そう自分に言い聞かせる為に。
大丈夫、大丈夫。
いつか、すべてが良くなる。
Everything will be all right.
そして昨日見た映画「悪の法則」にぶち当たる。
タイトルからして悪そうな映画だが、オーシャンズ11とか、それこそ上記のグランド・イリュージョンのように、仮に悪人の話でも、その悪人である主人公が最終的に勝てば、それはそれで痛快で救いのある、僕の求めている物語ではある。
これもそんな話だと思っていた。
ところがどっこい、全然そんな話ではなかった。
もう、淡々とバッドエンドに向かう、「因果応報」の話だった。
容姿も抜群で地位も名声も女も、全てを兼ね備えた高スペックな弁護士が、軽い気持ちで足を踏み入れた裏社会ですべてを失う話だ。
たいしたハイライトもクライマックスもどんでん返しもなく、耳障りなハエをたたき落としたり、目障りな蟻んこを踏みつぶす要領で、ただ淡々と残酷無比に、主人公や主要人物の破滅を描くだけ。
単純で当たり前でつまらないと感じる人もいるだろう。
しかし僕はここまでシンプルに極限にまで無駄をそぎ落とされた純粋な映画は初めて見たかもしれない。
セリフはいちいち哲学的でお説教じみて聞こえるかもしれないが、作品を構成する上で無駄なセリフなど一言たりともなくすべてに意味がある。
セリフにちりばめられた伏線をここまで完璧に回収しつつ、最も残虐な場面は実際には見せないことによって、逆に最高に絶望的な後味の悪さを見る者に浴びせることに成功している。
完璧すぎるものは、正直逆につまらないという気持ちも分からなくはないが、違う、理解できないだけ、いや理解したくないだけだとこの映画に対する賛否両論を見てそう思った。
どうがんばったって蟻は人間には太刀打ちできないし、野ウサギがチーターに敵うはずがない。
強大すぎる(悪の)力の前には、いかなる正義も常識も道徳も法律も何もかもが通用しない。
何をどうしようと、どうにもできないことがある。
そう思い知らされる。
今このような結果があるのは、もうずっと前に自分がそう選択したからだ。
今更取り消せない。後戻りはできない。
今ならまだ間に合うかもと思っていても、もう選択した時点で結果は決まっているのだ。
今できる選択は、どうあっても変えられない、突きつけられたその現実を受け入れるか、何が何でも拒み続けるか、それだけだ。
この先、いっそ死んだ方がマシだと思える現実が突如として現れるかもしれない。
無意識だろうとやむを得ずだろうとなんだろうと、過去にした選択の結果だ。
目をそらすのは良い。
だが覚えておかないといけないのは、現実は変わらないということだ。
いずれ向きあうことになる。
この映画にぶち当たるということは、多分映画を借りてこようと思った時から、いや鬼になると決意した時から、あるいはそのもっと前から決まっていた結果なのだろう。
お勧めはしません。
だが見てみる価値はある。そう思います。
僕は誰かを導いていく器ではなかった。
そもそもそんな立場ではなかったし、誰に頼まれたわけでもないんだけど。
でもできると思った。でもできなかった。
それがとても悔しかった。
そして同時にとても腹が立った。
そういう器かどうかは知らないが、少なくともそれができる立場で、それができる力を持つ者が、なぜそれをしないのか。
確かに僕は鬼になると決めた。
しかしそれを実行していく過程で、自分の立ち位置がどんどん悪くなっていく。
鬼は、つまりは悪は、敵は最終的には排除される運命にある。
なぜそんな損な役回りを、本来演じる立場にない僕が、自らの立つ瀬をなくすような真似をしてまで演じなくてはならないのだろうか。
自分の信じていた正義がただのエゴ、単なるわがままだったのではないかと疑念を持ってしまった。
思い通りにいかない現実に、ただ駄々をこねていただけに過ぎないのかもしれない。
そんな考えがよぎるようになってからは、やる気が一気に失せてしまった。
それからというもの、夜もなかなか寝付けなくなってしまった。
熱帯夜のせいかもしれないが。
そこで僕が取った行動は借りてきた映画を見ること。
それも正義は勝つ的なヒーローものや主人公側が勝利する勝負もの、ハッピーエンドものばかり。
アメイジング・スパイダーマン
アメイジング・スパイダーマン2
アイアンマン
アイアンマン2
アイアンマン3
アベンジャーズ
キャプテン・アメリカ/ザ・ファースト・アベンジャー
キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー
ワールド・ウォーZ
ゼロ・グラビティ
グランド・イリュージョン
ハンガー・ゲーム
ハンガー・ゲーム2
約2週間の現実逃避。
今ぶつかっている壁もいつかは取り払われる、乗り越えられる。
雨はいつか止むし、トンネルはいつか抜ける。
明けない夜はないし、正義は必ず勝つ。
そう自分に言い聞かせる為に。
大丈夫、大丈夫。
いつか、すべてが良くなる。
Everything will be all right.
そして昨日見た映画「悪の法則」にぶち当たる。
タイトルからして悪そうな映画だが、オーシャンズ11とか、それこそ上記のグランド・イリュージョンのように、仮に悪人の話でも、その悪人である主人公が最終的に勝てば、それはそれで痛快で救いのある、僕の求めている物語ではある。
これもそんな話だと思っていた。
ところがどっこい、全然そんな話ではなかった。
もう、淡々とバッドエンドに向かう、「因果応報」の話だった。
容姿も抜群で地位も名声も女も、全てを兼ね備えた高スペックな弁護士が、軽い気持ちで足を踏み入れた裏社会ですべてを失う話だ。
たいしたハイライトもクライマックスもどんでん返しもなく、耳障りなハエをたたき落としたり、目障りな蟻んこを踏みつぶす要領で、ただ淡々と残酷無比に、主人公や主要人物の破滅を描くだけ。
単純で当たり前でつまらないと感じる人もいるだろう。
しかし僕はここまでシンプルに極限にまで無駄をそぎ落とされた純粋な映画は初めて見たかもしれない。
セリフはいちいち哲学的でお説教じみて聞こえるかもしれないが、作品を構成する上で無駄なセリフなど一言たりともなくすべてに意味がある。
セリフにちりばめられた伏線をここまで完璧に回収しつつ、最も残虐な場面は実際には見せないことによって、逆に最高に絶望的な後味の悪さを見る者に浴びせることに成功している。
完璧すぎるものは、正直逆につまらないという気持ちも分からなくはないが、違う、理解できないだけ、いや理解したくないだけだとこの映画に対する賛否両論を見てそう思った。
どうがんばったって蟻は人間には太刀打ちできないし、野ウサギがチーターに敵うはずがない。
強大すぎる(悪の)力の前には、いかなる正義も常識も道徳も法律も何もかもが通用しない。
何をどうしようと、どうにもできないことがある。
そう思い知らされる。
今このような結果があるのは、もうずっと前に自分がそう選択したからだ。
今更取り消せない。後戻りはできない。
今ならまだ間に合うかもと思っていても、もう選択した時点で結果は決まっているのだ。
今できる選択は、どうあっても変えられない、突きつけられたその現実を受け入れるか、何が何でも拒み続けるか、それだけだ。
この先、いっそ死んだ方がマシだと思える現実が突如として現れるかもしれない。
無意識だろうとやむを得ずだろうとなんだろうと、過去にした選択の結果だ。
目をそらすのは良い。
だが覚えておかないといけないのは、現実は変わらないということだ。
いずれ向きあうことになる。
この映画にぶち当たるということは、多分映画を借りてこようと思った時から、いや鬼になると決意した時から、あるいはそのもっと前から決まっていた結果なのだろう。
お勧めはしません。
だが見てみる価値はある。そう思います。
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